-生理学@-


みなさま、こんにちは^^
循環器専門医 さと兄です

まずは専門分野である循環器のお話をしてみよっかなと思いましてぴかぴか(新しい)
一般の方はもちろん
医学を勉強する方の入門編にでもなればと

まず「循環器科」の扱う臓器は
心臓と血管(動脈と静脈)になります
基本知識として構造を知る必要がありますが
細かい血管の走行は覚えなくても大丈夫です

心臓(左心)→動脈→全身→静脈→心臓(右心)→肺動脈→肺→肺静脈→心臓(左心)

で1周していることだけ知っておきましょう

ここでの注意点は
全身をめぐる系肺をめぐる系があることです

そしてこれは直列につながっているのがポイントになります
(全身と肺は心臓を介してのみつながっているということです)

もう1つのポイントは、この話と重なりますが
心臓は右と左に分かれているということです
左心から全身に血を送り、右心からは肺に血を送っています
そしてこの二つは構造的には隣り合わせなのですが
つながっていないのです(ここが勘違いし易い)

心臓のポンプとしての力はほとんどが左心室によるものになります
ですから心臓の病気で機能が弱っている
とか言う場合は、基本的に左心室の機能の事を言っているわけですひらめき

ここまではご理解いただけましたでしょうか?
これだけでは病気のことなどはまだ分かりません
しかし優秀な医師ほど基礎知識がしっかりとしています
続けて読んでいただければ力が身につくようにお話して行きますので
次回も是非ご覧ください




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 -生理学A-


みなさまこんにちは、循環器専門医さと兄です

前回は血液の循環の構造をお話しました
今回は少し掘り下げてみます

左心と右心があると言いましたね
では血液になったつもりで循環ツアーに旅立ちましょう
みなさんは酸素を背負って運ぶ赤血球です
まず酸素を仕入れましょう
どこで仕入れますか

そう、肺ですね
では肺に行って酸素を受け取ってください
そこから全身に運ぶためにまず長距離トラックまで行きましょう
左心室にあるはずです
(肺→肺静脈→左心房→左心室)

左心室でトラックに乗り込んだみなさんは
今か今かと酸素を待ちわびている臓器まで幹線道路を急ぎます
(左心室→動脈→全身)

無事送り届けました
ところが困ったことに臓器さんに頼まれごとをされてしまいました
「このゴミ持って帰ってよ」
仕方がないので倉庫まで運んであげることにしました
(全身→静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺)

やれやれ、一仕事終了です
しかし倉庫で新しい酸素を渡され、再び運搬作業にもどされます
超ブラックな労働環境です
しかもこの1周の労働は約1分で行われていますから驚きです

どうですか?
分かりやすさを目指して失敗した感じがしなくもないですが

こういった内容を生理学と言います
病気を学ぶのは少し先になりますが
生理学は全ての医学の基本になります
試験のための暗記では無くて
しっかり理解して病気を知っていくためにはおろそかに出来ないものなのです

ここでの注意点は
動脈、肺動脈というように動脈と名付けられるのは、心臓から出て行く血管になります
心臓に戻っていく血管は静脈です

しかし酸素が多く含まれているのは動脈と肺静脈
酸素が少ないのは静脈と肺動脈になりますのでお間違えのないよう

また次回お会いしましょう
ではでは



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 -生理学B-


お勉強ご苦労様です手(グー)
さと兄です^^

酸素を運んでぐるっと1周する道筋は分かりました
では心臓では何が行われているのでしょう
実は人間と同じでサボってしまうヤツがいたりしますんでいい気分(温泉)
トラックがきちんと稼動するように交通整理が行われています

左房 → 左室 → 大動脈
    ↑    ↑   この2ヶ所に検問があって
矢印方向に一方通行になっていますひらめき
きっと逆走して仕事をブッチする奴がいるのでしょう
困ったものですもうやだ?(悲しい顔)

この作業を行っているのがです
左房と左室の間に僧帽弁、左室と大動脈の間に大動脈弁があります
ドアのような構造をしていて、片方にしか開かないようになっています
そのおかげで一方通行になるのですが、この仕組みは重要なので覚えておきましょう

ちなみに右心系も同様の構造をしていて
三尖弁、肺動脈弁と名付けられています

流れるプールと水を流すポンプのようなものですから
循環器は意外と単純な構造だと思いませんかexclamation&question
実際そんなに難しいものじゃないんで
苦手意識を持たずに基礎知識を覚えちゃいましょうぴかぴか(新しい)

では〜手(パー)



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 -生理学C-


流れるプールなのは分かったけど
その調整はどうなってんの?

はい、人間って本当にすごく精密に作られています
神様の仕業でしょうか
好き勝手行動しても体は安定した状態を維持してくれてます

その指揮系統は自律神経が担っていますひらめき

とその前に
心臓ってそれだけを取り出しても勝手に動いているんです
すごいでしょう目
これには自動能が一役買っています

普通筋肉は命令があって初めて動くんです
ところが心臓の筋肉は命令が無くても
自分で命令を作り出して動くことができるということです

そうは言っても心臓にはたくさんの筋肉がありますから
バラバラに動かれては困りますがく?(落胆した顔)
そこで心臓全体を統率するための指揮系統がありまして
刺激伝導系と呼ばれています

他の筋肉より早く刺激を発生する集団と
その刺激を伝えるために特化した電線があるのです
全ての心筋に自動能があるんですけど
先に命令が来てしまうとおとなしく従う性質があります
一見自分勝手なアウトローかと思いきや
上司が現れると真面目に指示に従うみたいな

この指揮系統が
洞結節 → 心房 → 房室結節 → His束 → プルキンエ線維(心室)
です
見たことあるあなたぴかぴか(新しい)勉強熱心ですねグッド(上向き矢印)
初めて見たあなたひらめき大丈夫、これで知ったんですからるんるん

この性質は心臓を理解する上で大事な内容なので
10回ほど唱えておいてください



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 -生理学D-


今日もひとつ学びませんか?
継続は力なりです

心筋は勝手に動く能力があるわけですが
みなさんが脈を計ると一定ではないですよね
前回お話した早い集団(正常時としては洞結節です)も
命令によって仕事の早さが変わります時計

その命令を伝えるのが自律神経です
自律神経には2種類ありまして
交感神経と副交感神経になります
交感神経は活動を活発化させる神経です → 動け!
副交感神経は抑制的に働きます → 休め!

体が必要に応じて心臓の活動を制御しているのです
心臓がひとりでに動いているというのは
自律神経がまったく命令しなくても動いているということになります

まとめると
洞結節は心臓全体を協調して動くようにさせる指揮者です
その指揮者もさらに上層部からテンポを変えるように命令を受けています
指令系統の最上部はみなさん自身です


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 -生理学E-


心臓に早く動けとかゆっくりでいいよとか
自律神経が制御していると言うけど
それどうやって決められているのexclamation&question

そんな疑問がわき上がったら決定です
なんでだろうの科学の精神があれば上達も早くなります

フィードバックって聞いたことがありますか?
結果が戻ってくるってことですが
要は心臓から流れてくる血流が少ないから
たくさん流すように伝えてよって依頼が来るようなことです
で、この苦情に対して動きを変えるように心臓に指令が下るんです

わかりづらいかも知れませんが
心臓の動きに変動が起こる時は
そういった需要が発生したのだと考えてください
この考え方は
起こった変動の原因を探る時に必要になります

んー、煮え切らない文章な感じがありますが
応用編は次回です



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 -生理学F-


心臓の役割は単純に考えると全身に酸素を届けることです
そのために雨の日も風の日も失恋しても休まず動き続けています揺れるハート

そうしますと、心臓の動きを調節する仕組みは
酸素を十分に送り届けるためにあるわけです

組織に十分酸素が行き渡らないと
心臓から送り出す血液を増やそうとします
すると交感神経が心臓に、早く動けとか強く収縮しろとか
命令を伝えるんです

これがフィードバックと呼ばれる反応ですひらめき

ですから心臓の活動に変化が起こる(命令が下される)
ということは
組織の酸素の需要に対して供給を調節するべき出来事が起こっている
ということになりますね

臨床的な言葉にすると
血圧や脈拍の変動は
需要の変化に対応するために起こっている
となります
これは先々病態を把握するために必要な知識になります
覚えておきましょう

ではまたー(長音記号2)



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 -生理学G-


少し複雑な内容に入っていきましょう手(グー)

心臓・・・って考えるとややこしいので
左心室だけの袋になったと思ってください

この袋は水を溜め込んで、縮むことで水を吐き出します
穴は2ヶ所に開いています
ただ膨らんで縮むだけだと、どっちの穴から水が出入りするか分かりません
そこで、一方通行用のドアがついていて、これをと呼ぶのでしたねぴかぴか(新しい)
これがあるおかげで、入ってくる方向と出て行く方向が制御できるのです

このような動きで血液を押し出しているので
連続的に流れているのではなくて
断続的に押し出されていっています
これを拍動流と言います
だから脈拍として触れるのですね

一度に押し出せる量は
膨らんで縮んだ分の差になります
この量のことを一回拍出量と言います

そして、一定の時間で換算して定義しないと分かりづらいので
一分間あたりどれくらい拍出しているか示す値があります
これを心拍出量(?/min)と呼び、一回拍出量(ml)×心拍数(/min)で計算されます
単位を見ると一目瞭然ですね
要は一回の量だけでは無く、動く早さも考慮に入れないと
押し出している量は分かりませんからね

さて、勘の良い方はお気づきかと思いますが
心拍出量を決める因子としては
心臓の収縮力(一回拍出量)
動く回数(心拍数)
のふたつに分けられるのです

つまり、上司から命令が来て「血流を増やしなさい」と言われると
このどちらか、または両方を増加させることで
心拍出量を増やしていることになります

この知識がどんな役に立つのか?
メチャクチャ役立ちますのでご期待ください



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 -生理学H-


みなさーんグッド(上向き矢印)ついて来てますかexclamation&question

こんな感じで書き続けて
本当に役に立てるのか不安気味なさと兄です

モチベーションにもなりますので
良い悪いや感想などでもコメントいただければ幸いです
よろしくお願いいたしますm(_ _)m

かなりハイペースで記事を書き続けてきましたので
ちょっとずつ暇つぶし感覚でお読みくださいませ


心臓が血流を増やす(心拍出量を増加させる)ためには
@早く動く(心拍数増加
A強く動く(一回拍出量増加
が起こればよいことが分かりました

交感神経から増やせと命令されると
@とAが起こるのです

@はリズムを作っている部署に命令して、早めればいいですね
その場所は洞結節でした
洞結節の作り出すリズムが早くなることで
心臓が収縮する感覚が短くなる
すなわち心拍数が増加するわけです

仮に一回拍出量が不変だったとしても
掛け算でしたから、心拍数が増えると心拍出量は増えますよね

心拍数の増減はお手軽に行えますので
常に変動しているくらいにお考えください
自分で脈をとってみるとコロコロ変わっているのが分かります

じゃあ早くなればなるほど心拍出量が増えるのかexclamation
そう上手い話はないわけで
実は収縮する時間はあまり短くすることが出来ないので
早すぎると心臓が膨らむ時間(血液が流れ込む時間)が短くなってしまい
一回拍出量が減ってしまうようになります
なので、早さで対応できるのには限界があります
これが頻脈性不整脈が不都合な理由の1つですから覚えて置いてください

循環器の疾患は生理学の破綻によって起こる部分が大きいため
このお話はまだまだ続きます
その分病気の数はすくないですから、最初の内は頑張りましょう手(グー)



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 -生理学I-


A強く動く について

心臓は筋肉の塊ですから
筋肉が強く収縮するように命令すれば
ギュッexclamation×2と縮んで
たくさん血を送り出すことができます

当然袋に入っている量以上は押し出せませんので
限界があります
通常は60ml程度が一回拍出量になります

ちょっと考えると
袋に入っている量が多ければそれだけ押し出せるんじゃねexclamation&question
って思いますよね

正解です

ただそれには、入ってくる血流と圧力が必要になりますので
心臓に影響を与える周辺環境によります
ですからこれはまた別の機会のお話にさせて頂きます(こればっかわーい(嬉しい顔)

ちなみに入ってくる血流が増えて圧力が上がると
心筋は引き伸ばされますよね?
これを張力と言います
心筋には張力に比例して収縮力が増すという性質があります
この性質のことをStarlingの法則と呼びます
その性質からも入ってくる血流が増えると押し出す血流量が増えることになります

以上が心筋が縮む力による心拍出量増加です

一旦休憩しましょう



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 -生理学J-


再び生理学です

血圧ってありますね
これの仕組みなんですが簡単に
物理のE=IR(オームの法則)の関係で考えてください

血圧=心拍出量×血管抵抗
厳密には正しくないのですが、考え方の一つとして

血圧は流れてくる血流量と血管抵抗で決まるわけです
式の右辺のどちらかが増加すると血圧が上昇しますね
しかし実際には血圧には適切な範囲というのが存在するのです
ですからどちらかと言うと
適切な範囲からはずれてしまった血圧のために心拍出量や血管抵抗が変動する
と思った方が良いです

血圧は組織に血液を浸透させる圧力になっていると考えてください
すると一定より低くなってしまうと組織に血液が行き届かなくなります
この組織灌流圧を維持するために心拍出量や血管抵抗が調節されるわけです
調節しているものはもうお分かりですね
自律神経です

この一定の下限レベルを維持できなくなっていまったのがショックですね
この知識はショックの原因を探る場合にも必要になってきます

このお話はまだまだ続きます



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 -生理学K-


基本的に血圧が下がらないように反応が起こります
フィードバックですね

血圧=心拍出量×血管抵抗 でした
少し式を変えると
血圧=一回拍出量×心拍数×血管抵抗 になります

すると血圧を上げるためには
@一回拍出量を増加させる
A心拍数を上昇させる
B血管抵抗を上げる
の3つになります

まず最も単純なBですが
これは血管が縮むことで達成できます
交感神経が命令を下すことで縮みますから
ただ、血管はそれ自体が血液を流す管でもありますから
あんまり締め付けすぎても具合がよろしくなさそうです
血流としては組織を灌流する圧力とともに、十分な量も必要ですからね

しかし血管抵抗を変化させるメリットとしては
心臓の活動に刺激を加えずに血圧を変動させることができる のです
これは後々勉強すると解ってきます
心臓にあまり手を加えずに血管抵抗を上げたい時は有利で
ノルアドレナリンやメトキサミンなど交感神経α受容体を刺激する薬が使われます

では次回もお楽しみに〜



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 -生理学L-


お役にたっていますでしょうか?

血圧を上げる方法そのAです
心拍数を増やせばよいのでしたね
交感神経がリズムを作る洞結節に「ちょっと早く動いてよ」と伝えるだけです
血液の量とか関係ないからすぐに対応できます
これが圧倒的なメリットになります
なのでシステムの中で一番早く反応が起こるのはここです
酸素が不足するなどの時、すぐ頻脈になりますから、自分でも体験できます

ならどんどん脈を早くすればいいじゃんと思いたいところですが
以前ちらっと出てきたように心臓は膨らんで縮んでいるので
血液を取り込む時間が必要になります
基本的に収縮する時間は短くならないので
膨らむ時間(拡張期)が短くなってしまうのです
すると一定以上の頻脈になってしまうと
入ってくる血液自体が減ってしまい、拍出量は増加しなくなり
早すぎるとむしろ減ってしまうことになります

個人差があるところですが、だいたい180/分くらいが限界になりますかねー
ですから普通の人が脈が早くなりすぎて困ることを心配する必要はありませんよ
正常な体は自ら不利になるようなことはしませんから
病気の時はこの限りではありませんので、このことは知っておいてください

次はいよいよ一回拍出量です



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